07)いかさまトランプ詐欺の仲間入り強要で、一時軟禁状態に

親切なガイドを装い、街を散策中に急接近!

それはバンコク名所、バイヨークタワーからプラトゥーナムにかけて、街を散策していたときでした。左側の歩道をウィンドウショッピングしつつ、のんびりと歩いていたのです。

向かい側から歩いてきた若者が、近づき声を掛けてきました。30歳前後でしょうか、彼がタイ人なのかあるいは他の国から来た人物か、分かりません。

「午後からなら、従兄が車であなたを観光案内してもいいと言ってます。如何でしょう?」。その日、終日決まった予定がなかったこともあり、さらに好奇心旺盛ゆえ、ついそんな誘いに乗ってしまったのでした。

一軒家へ案内し、トランプ詐欺の仲間入りを強要

彼はその場で拾ったトゥクトゥクに行き先を指示し、腕をとり後部座席に案内しました。10分ほど走ったでしょうか、トゥクトゥクは大通りから静かな路地に入り、瀟洒な一軒家の門の前で停まりました。

家に案内されたのは、ちょうど昼前でした。午後にならないと従兄は戻らないとかで、昼ご飯でも食べながら帰りを待とうということになったのです。

提供された昼食のカレーを食し、ひと息ついたところで2階で休息をとるように促されました。2階の部屋の丸テーブルに腰掛けるよう勧められ、しばらくすると奥の部屋から別の人物が現われ、トランプのポーカーゲームに誘うではありませんか。

いわく、夜会員制の賭博場のいかさまトランプでひと儲けできるので、その仲間にならいかと訊ねるのです。タイへやってくる前、現地ではいかさまトランプの仲間に誘うと偽り、日本人観光客をターゲットに、カードから現金を引き出させる犯罪が横行しているとの外務省の警戒情報に触れていたこともあり、「これだな」と直感したものです。

当時、タイ訪問にはしっかりした目的もあり、「いかさまトランプの仲間に加わるために、この国に来たのではない」と強硬に誘いを断わりました。さらにこの誘いを遮り、午前中に出会った場所まで送り届けるように、強く訴えたのです。

教訓から学ぶ、日本人が詐欺被害などに遭わない方法

その時は幸い、相手が詐欺の玄人集団ではなかった様子で、当方の訴えを聞き入れバイヨークタワー近くまで、送り返してくれました。あとで不思議に思ったのは、なぜ彼らは私を日本人だと認識し、ターゲットにしたのかということです。

のちに街で、多分日本人と認識したうえで話しかけてきたシンガポール人の滞在者に、日本人だと分かった理由を尋ねたことがありました。理由は簡単で、その服装、装いに特徴があるのだと言います。

当時はまだカメラ付きスマホは出ていませんでしたが、カメラを首から下げ、ウエストポシェットを腰に巻いていれば、それは「私は日本人ですと主張しているようなもの」とは、彼の見解でした。

以後、タイで街を散策する際は、現地のショッピングセンターで手に入れた安物のナップサックに、カメラからガイドブック、ペットボトル、ウエストポシェットまで詰め込み、肩から下げるようにしました。

効果はてき面。それ以降はタイのどこへ行っても、初見で日本人だと分かり話しかけられることはほとんどなくなりました。よく、シンガポール人や韓国人と間違わられ、声を掛けられるようになったものです。

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