04)シーチェンマイのラーメンは、木の葉たっぷり健康麺

水上10メートル、大河にせり出したシーチェンマイ食堂

東北タイのラオスへの玄関口、ノンカイからメコン川に沿って242号線を西へ約1時間、小型乗り合いバスのソーンティオに揺られて進むとシーチェンマイという小さな街に出ます。ずいぶん昔、その街を訪れましたが、当時は日本人が訪れることも稀だったようです。

そんなシーチェンマイにあって、河岸からメコン川にせり出すように、質素な食堂がありました。対岸はラオスの首都ビェンチャンの郊外に当たるようで、緑に囲まれた住宅が散在するのが遠望できます。

ノンカイからの小旅行ののちの小休止だったこともあり、食堂でタイラーメンを注文するなり、まずはトイレ拝借となりました。驚いたのは、そのトイレのスリリング極まりないことです。

店の女主人に手で示され向かったトイレは、メコン川にせり出した食堂の先端にあり、簡単な扉と板囲いに囲まれた小さな空間からは、10メートルほどの眼下に、雄大なメコン川の川面が覗ける、そんな危険な?トイレだったのです。

野趣な味のハーブと共に食するベトナム風クィッティオ

さて、スリリングなトイレから無事帰還し、テーブルに戻って間もなく提供されたタイラーメンつまりクィッティオには、皿に盛られたバーブ類が添えられていました。それまでバンコクをはじめタイ国内を旅する間に食べたクィッティオにはないスタイルだけに、興味津々。

ここではバジルやミントなどの香草類に加えてインゲン、細かく千切ったキャベツがありましたが、ほかにパクチやライムなどが盛られることもあります。さらに細かく千切ったりして、クィッティオの器に入れ、全体かき混ぜながら食するのが、ベトナム風です。

野趣な味わい豊富なハーブと共に食するベトナム風クィッティオですが、ベトナム料理全般、野菜をふんだんに使ったヘルシーな料理が多いのが特徴でしょうか。そのためかアオザイを身にまとった若い女性には、肥満のイメージがありません。

ベトナム文化が深く入り込むノンカイ周辺のタイランド

ラオスを間に挟んだ遠いベトナムの、料理をはじめ文化の影響が、なぜメコン川沿いの東北タイ、ノンカイ周辺にまで及んだのでしょう。その背景には、ベトナムをはじめとする周辺のアジアの人々を苦しめた戦争の歴史があったのです。

日本の敗戦を契機に独立の機運が高まるベトナム、ラオス、カンボジア3国の独立をめぐって始まった旧宗主国フランスへの抵抗戦争とその後勃発した対米ベトナム戦争。立て続けの戦禍は、ベトナム人をはじめとする多くの市民を難民へと追いやりました。

戦禍を逃れ、ラオスを通ってタイへ辿り着いたのでしょう。いまでも多くのベトナム人やその子孫が、ラオスを隔てたメコン川沿いの東北タイに暮らしています。ノンブアランプーへの何回目かの旅で泊まった商人宿の老いた女主人は、そうしてタイで一旗揚げた、かつてのベトナム人難民でした。

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