東北タイ農村の村の高床式住居滞在でよみがえった郷愁

高床の床の隙間から覗く土間では、鶏が餌をついばむ

だいぶ前のことです。タイ東北線列車の普通車車中で、帰郷する初対面の家族にしつこく頼み込み、村の家族の住まいに泊めてもらいました。田舎の生活を体験したかったのです。 泊めてもらったのは、質素な高床式住居。その日は夜も遅く早々に休ませてもらい、翌朝、時を告げる鶏の鳴き声に目を覚ましました。その鳴き声が順に引き継がれ、村を一周して戻ってくるではありませんか。初めての体験で、しばらく聞き入っていたものです。 高床には、あちこちに指先が入るほどの隙間があります。床下の土間には、餌を探して歩き回る鶏が数羽。食事の食べ残しは、ゴミ箱代わりにその隙間から投げ込まれ、鶏が先を争いついばんでいました。

立派な高床式住居では、村人と共に車座になって饗宴

村での滞在2日目は、目と鼻の先にある奥さんの実家に移動するよう促されました。奥さんの嫁ぎ先の高床式住居があまりに粗末で、恐縮したのでしょう。 移動先の実家の高床式住居は、床も高く村でも立派なたたずまい。夕食の時間になると、村中の老若男女が四方から集い、飲めや歌えの饗宴が催されました。 村を訪れた初めての日本人とかで、村人は興味津々。タイまでの旅費はいくらかかるのか、日本で仕事ができないかなど、質問攻めです。ある若者は自慢げに、「北国の春」の一節を披露し聞かせてくれました。 夜遅くまで東北タイ特有のモーラムの音楽が響き、ラムウォンと呼ばれる独特の踊りが続きます。ちなみに事前に、滞在中の酒と食材の買い出し費用として、周辺のホテルの2泊相当分を家人に差し出しておいたものです。

宴のあとに、水牛をさばいた生肉料理が出される

宴会もクライマックスを過ぎ、夜も更けて村人たちは三々五々、家路につきます。宴会も終え、家人が用意した毛布に包まれ、風通しのいい高床で横になりました。 どれほどの時間が過ぎたのでしょう。気持ちのいい眠りに入ったところで、村の男たちの声に起こされました。彼らが持ってきた皿には、さばいたばかりの水牛の生肉料理が盛られています。 初めて見る料理で、指先でつまむと血の滴るような生肉が激辛に味つけられていました。ラープヌアという東北タイ料理ですが、さすがに寝起きだったこともあり、それほど食は進みませんでした。 この村での滞在経験は、早朝、村を一巡する鶏の鳴き声といい、車座になって飲めや歌えの宴会といい、なにか郷愁を誘う懐かしい思いをさせてもらったものです。

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